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■研究内容 |
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高速ポリマーインターコネクションのための並列光導波路 |
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ネットワーク機器・コンピューターの処理速度向上,並びに価格面で光ネットワークの普及を推進する技術として,『筐体内光インターコネクション』が重要となってきています.家庭に代表される「個人レベルで数Gb/sものネットワーク利用」が広く普及した場合,ネットワークの上流に位置するメトロ・コアネットワークのルーター,スイッチや,各種サーバーの処理速度がボトルネックとなることは,かねてより言われています.この処理速度向上のため,ルーターやサーバーなどの筐体内配線を一部光配線化する動きが進んでおり,特に我が国では,同様に携帯電話端末内を光配線化する試みも提案されて注目を浴びています.各家庭にまで光回線が敷設されても,最終的にネットワークに繋がる全ての機器類は,現状,電気的にその信号を処理することとなるため,宅内ONUと機器との間で必ず,光−電気のメディア変換が必要とされる訳です.(現在はこの機能をONUが司っています).機器内に光インターコネクションが導入され,機器内にも光素子が導入されるようになることによって,光素子の低価格化が進み,さらにはONUから機器までの全光配線化の必要性が高まり,POFへのニーズも高まると期待されます.
この光インターコネクション技術を支える素子として,1988年に始めて報告された屈折率分布(GI)型ポリマー光導波路の技術をもとにし,情報光学研究室では,2007年,GI型円形コアポリマー並列光導波路(PPOW)を試作し,光インターコネクションに応用することを報告しました.このGI型円形コアによって,以下の新規な効果が得られています.
1) GI型屈折率分布によりモード分散の低減が可能となり,83Gb/s・mの超広帯域(従来の矩形SI型コア導波路では40Gb/s・m程度であった)
2) GI型屈折率分布により光信号の電界分布がコア中心に閉じこめられるため,伝送損失の面で,SI型導波路に比べてコア-クラッド界面の平滑性の影響を受けにくく,実際に伝送損失は0.029dB/cm
(波長850nm)と大幅に低減された.
3) POFを含む,同じ円形コアを有する光ファイバーとの接続時の損失が低減できる.
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●バックプレーン配線イメージ(上)とポリマー並列光導波路(下).通信機器筐体内のバックプレーンやボード内
に光インターコネクションを導入するためには,ポリマー特有のフレキシビリティを利用した屈曲性も重要に.
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