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■研究内容 |
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カーボンナノチューブフォトニクス |
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バックボーンシステムのみならず通信機器筐体内に対しても光配線化が提唱されている中で,やがては信号処理回路にも光を用いる,『フォトニックネットワーク技術』が必要とされることは間違いありません.ネクストジェネレーションネットワーク(NGN)とも呼ばれるこのようなネットワーク実現のためには,波長変換,光増幅,光スイッチ,波形整形,リタイミング,2R/3R再生中継器,光メモリなど全光処理のできるデバイスが不可欠です.
その様な状況の中で,近年,機械強度,電気的性質,化学的性質などあらゆる面で優れた性質を持つ物質として様々な分野で研究開発が進められているカーボンナノチューブ(CNT : Carbon nanotube)が非線形光学素子として非常に注目を集めています.この光学非線形性を用いて,CNTを利用した全光処理デバイスが実現できると考えてられており,いくつかの検討が報告されています.
しかしながら,CNTの光非線形性を十分に発現出来た検討例は多いとはいえません.これはCNT間の物理的・化学的凝集力が強く,そのために生じる過剰光損失が障壁となり,光波とCNTとの相互作用を十分に増大できていないことがその要因の1つと言えます.
つまり,CNTを用いた光非線形デバイス実現にはCNTを石英や光学ポリマーといった透明マトリクス中に均一に分散し,かつその状態を固定化する技術の確立が必要です.
従来の光通信デバイスの主材料である石英はケイ素,酸素から成り,炭素のみから成るCNTとの親和性・加工性と言う点で,技術課題が残っています.これに対して情報光学研究室にて,従来から光デバイス用材料として提案している光学ポリマーは主に炭素から成り,CNTとの親和性が高いことが期待されます.また加工性・低コスト性に優れることからCNTの分散性が向上されれば,CNT支持体として極めて有力であり,安価で柔軟なデバイスのデザインが可能になると期待されます.
そこで情報光学研究室では,将来のフォトニックネットワーク技術の軸となる全光処理デバイスの創製を目的とし,東京大学山下研究室と共に研究を進めています.
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●PMMA中にカーボンナノチューブ(CNT)を分散させたCNT-PMMAコンポジット.
通常は左写真のように,CNTが凝集してしまい,斑点状に見えてしまいますが
当研究室ではCNTを均一にPMMA中に分散させる事に成功しました!!
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●CNT-PMMAコンポジット中のCNTの吸収スペクトル
CNT特有の過飽和光吸収特性が期待されます
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●さらに東京大学の山下研究室と共同で上述のCNT-PMMAコンポジットプレートを,
受動モード同期素子として利用した光パルス発振に成功しました.
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