本研究は2006年度まで(小池・石榑研)行ってきましたが,現在は研究を終了しています.
フォトニック結晶ファイバ(PCF)は,1990年代後半に初めてその可能性が報告されました.PCFの最大の特徴は,屈折率1.0を有する「空孔」が規則的に配列した断面を有していることにあります.この空孔とファイバ母材との創り出す実効屈折率が,中実化されているコア部の屈折率よりも低減され,その結果,光信号がコア内に閉じこめられ伝搬するというのが,多くのPCFの導波原理です.さらに,より高精度に空孔配列が制御されれば,コア部は中実化されておらず,同じく空孔であっても,光はコア部に閉じこめられて伝搬することが出来ます.これは,フォトニックバンドギャップの形成により,ファイバ半径方向へ光の伝搬がなされないためです.このPCFは,大口径,広波長帯域シングルモードの実現,低曲げ損失ファイバの実現など,これまでの光ファイバでは実現できなかった新機能の発現が期待されています.
当研究室では,プラスチック材料の利点であるフレキシビリティを生かしたPCF(PPCF)を実現すると共に,プラスチックならではの新機能発現を目指しています.これまでに,PPCFの作製技術が確立され,空孔配列,空孔径が所望の値に制御可能となってきました.また,このコア部への光導波も実現し,現在は,シングルモード化,低損失化を検討しています.更に,PCFに期待される特性の一つである,低曲げ損失性に着目し,PPCFコア部に通常のGI型POFを配置した,Hole-assisted
GI-POFの試作を行いました.現在,2種類の作製方法にて検討を進めており,空孔配列の制御が行えるようになってきています.
今後,低損失ポリマー材料である全フッ素化(PF)ポリマーを用いたPPCFの実現を目指します.このPF-PPCFは,低損失性により利用可能波長帯域が広く,様々な応用が期待されます.
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